ニルヴァーナ他殺説!?カート・コバーンの死に迫る映画が公開。「In Utero」に感じた可能性。
ニルヴァーナのボーカル、カート・コバーンは自殺ではなかった?カートの妻、コートニー・ラブの私立探偵の捜査による証拠による他殺説を追ったドキュメンタリー映画が12月12日に公開が決定した。
まず思ったのは、そんな説あったんだって感じ。仮に他殺だとしても、もうカートの新しい音楽は聴けないから、どっちでもいいやって感じだけどね。でもちょっと気になる。20年も調査し続けたんだから、面白い話が聞けるんでしょう。
せっかくだから、久しぶりにニルヴァーナを聴いてみた。
3rdアルバム「In Utero」に感じた可能性
ニルヴァーナのどのアルバムが一番好きかと言われたら、迷わずに3rd「イン・ユーテロ」だと即答する。音楽の好みは人それぞれだし、俺自身も1st「ブリーチ」も2nd「ネバーマインド」も好きで、正直好きな曲の数で言えば「ネバーマインド」が一番多い。
「ネバーマインド」はキャッチーな曲が多いから、聴いててとても楽しいし、覚えやすいから好きになりやすい。だけど、前に一度全アルバム通して聴いてみたことがあって。低音が厚くて、太いサウンドになっている「ブリーチ」の直後に聴いた「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」のイントロの音の細さにショックを受けてしまった。
「イン・ユーテロ」は、「ブリーチ」に近い太い音かつ「ネバーマインド」のようなキャッチーな曲が多い。それだけで、俺の好みからすると、「イン・ユーテロ」が最高だ。だけど、理由はそれだけじゃない。
「アコースティックギターで演奏して、シンガーソングライターと呼ばれたい」
カートはインタビューでこんなことを言ったことがある。
いつかアコースティックギターで演奏したい。シンガーソングライターと呼ばれたい。グランジロッカーじゃなくてね。そうすれば歳を取ってからギターを抱えて椅子に座りながら──ジョニー・キャッシュみたいになれるからね。
ギターをかき鳴らして叫んでいるイメージが先行しがちなカートだが、実際は内向的で音楽や読書が好きな青年だったという。
「ネバーマインド」にも、ただのグランジロックには収まらないメロディを持った曲はいくつかあるが、「イン・ユーテロ」には勝らないと思う。ニルヴァーナというバンドらしさを持ちつつ、例えば三曲目「Heart-Shaped Box」の詞やメロディはすごくシンガーソングライター的だし、一曲目「Serve the Servants」の構成はユニークなアイデアに富んでいる。そして「All Apologies」だ。
誰も、こんなに優しいメロディ、優しい歌詞の曲をニルヴァーナで聴けるとは思わなかったんじゃないか。彼らの曲の中で、この曲だけ明らかに異質だ。
この曲は、上記のインタビューでの願望に確実に近づいていることを感じさせる。しかもニルヴァーナらしさを保ったままに。カートがもし生きていたら、彼にしか書けない、最高のポップスを作り出していたんじゃないか。「イン・ユーテロ」を聴くと、そんな可能性を感じてしまう。